赤ちゃんからシニアまで、
農園芸で癒しの交流「こえどファーム」

「今度ココでスイカ割りやるんですよ」
と笑顔で話すのは、NPO法人土と風の舎代表の渋谷雅史さん。同団体の活動拠点の1つ「こえどファーム」は、池袋から東武東上線急行で約30分の川越市にあります。月1回お楽しみイベントを実施していて、8月はスイカを収穫し、その場でスイカ割り大会をするそうです。
夏は流しそうめん大会、冬は焼き芋など、「こえどファーム」は、障がいのある人もない人も、赤ちゃんもシニアも、地域のさまざまな世代の人が集って、土に触れることを楽しんだり、収穫したものを味わったりしながら交流できる憩いの畑です。

NPO法人土と風の舎は、2002年、埼玉県内の園芸福祉に関心のあるメンバーらによって立ち上げられました。「こえどファーム」のほか、高齢者施設や精神科クリニックに訪問して「お出かけ園芸ひろば」を開いたり、地元公民館といっしょに園芸療法入門講座を開催するなどの園芸福祉活動を展開しています。
←代表の渋谷雅史さん
こえどファームは、種まき・草取り・収穫・料理まで1年を通して楽しめます。近年は、週末に90人が集うこともあるほど参加者が増加しています。
この背景には、子育て支援のNPO、高齢者福祉施設、公民館などいろんな分野の団体との連携があります。「単なる農業体験ではなくて、農を通じて、予想もしない、いろんな人たちが出会うのが面白いんです。この畑が出会いの場になってほしい」と渋谷さんは言います。実際に、活動を担っている方々に話をお聞きました。
退職後に自給自足生活をと公民館での「小江戸川越-快適・農園ライフ」を受講したという会員の只野正司さんは、「いわゆる農業体験のイメージとは違ってはじめは驚きました。でもこの畑は、だれが先生でもなくかかわれるのが楽しいんです」と、活動の魅力を語ってくださいました。また、市報を見て「竹炭づくり」に興味にもって参加したという黒沢洋右さんも、子どもや障がい者との接点は思いも寄らなかったそうです。「もし福祉的なことが前面に出ていたら、自分にできるかなと二の足を踏んだかも」とも。そんな黒沢さんですが、今では、高齢者施設や精神科クリニックでの園芸福祉活動に欠かせない中心的な存在となっているそうです。
猛暑の中、畑で取材に協力してくださったメンバー↑左から只野さん、黒沢さん、野本さん、渋谷さん
最近では、こえどファームに程近い障がい者施設「こすもす作業所」ともつながり、障がい者施設で生産した農作物や加工食品とのコラボ企画も進行中だとか。
中央ろうきん助成プログラムの継続助成4年目となった同団体だが、これまでの活動で、農園芸が認知症の周辺症状の緩和改善、精神障がい者の自立や就労に有効であることを、実感してきているといいます。
例えば、認知症高齢者グループホームで毎日のように「自宅へ帰りたい」といっていた利用者が、「私が水やりをしなければ」といって前向きに生活を送るようになったといいます。また、ジョウロで水やりをする、スコップで土を掘るなどの作業は運動機能の維持にも役立っています。
一方で、園芸福祉活動への理解の少なさはまだまだだという課題はあるものの、最近では、ずっと参加している子が、初めて参加する子に作業を教えてあげたりする一面もあり、作業を通じて少しずつ活動の輪が広がっています。その広がりの秘訣は、何なのでしょう。代表の渋谷さんはこう語ります。
「自然が相手なので思い通りにいかないことも多い。その日の天気にあわせて、やることが変わるのはいつもの事です。活動も人とのつながりもゆるやかがいいんです。いろんな人が携われる活動を今後もやっていきたいから・・。実は事務所も有給スタッフもないんですよ。みんながスタッフでみんなが参加者なんです(笑)」
*ウェルカムボードが私たち職員を迎えてくださいました。
*今日、収穫したばかりのジャガイモ、おいしそう~
*みんなで掘った井戸もあります。
特定非営利活動法人 土と風の舎 (代表理事:渋谷 雅史 埼玉県川越市)
中央ろうきんでは、2008-2010年スタート助成、2011年ステップアップ助成として、特定非営利活動法人土と風の舎の活動を助成しています。