
働く人のお金が、社会を変える。
多重債務問題は、必ず解決できる
宇都宮 健児 さん
東京市民法律事務所 弁護士
国内に300万人はいると言われる多重債務者のうち、専門家の門を叩いた人はわずか40万人足らずです。私は30年程前から多重債務問題に取り組んでいますが、「多重債務の問題は必ず解決できる」ことをぜひ伝えたい。一人でも多くの苦しんでいる人たちに、安心して相談できる場所があること、信頼できる弁護士や司法書士が身近にいることを知ってもらいたいと思います。
企業において、多重債務に陥らないための社員教育や苦しんでいる社員の救済は、一種のリスクマネジメントでもあるのですが、対策を講じる企業は少ないのが現状です。そうした中、全国13の労働金庫では「多重債務対策本部」をいち早く設置し、勤労者の相談窓口を設置しました。また、中央労福協を中心に取り組んだ賃金業のグレーゾーン撤廃と高金利引き下げの署名活動では、労働組合や労働金庫の協力もあって、340万筆の署名を集めました。この力は大きかった。運動が世論を動かし、賃金業法改正へとつながったのです。こうしたネットワークを広げ、今後は多重債務から抜け出した人が再び陥らないためのセーフティネットも強化していきたいですね。
多重債務対策において、民間金融機関には「日本版グラミンバンク」のような、低所得者が利用できる生活資金の低利貸付などを実現してもらいたい。労働金庫にはそのけん引役として、今後も多重債務問題の解決に向けた活動を継続していってほしいと思います。
<「ビッグイシュー日本版第92号」(2008年4月1日発行)掲載>
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