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山梨県
待機児童の解消をめざした学童保育が、子どもの居場所と高齢者の生きがいに
 
みんなの居場所「羽黒ほっとサロン」
 
待機児童の解消をめざして
 「ただいまっ!」と、次々に駆け込んでくる子どもたちが、ボランティアの笑顔と「お帰り」という言葉に迎え入れられる。山梨県甲府市郊外の羽黒地区集会所で、ボランティアによる学童保育が始まって2年余りがたつ。
 コーディネーターの塩崎洋子さんは教員を退職後、市教育委員会の嘱託として青少年の補導にあたる。さみしさを抱えて夜の繁華街を徘徊する中高生の姿に心を痛める日々は6年続いた。
 「生きるってすばらしい。人って信じられる。困ったときは誰かが助けてくれる。そう思える自己肯定感のある子に育てるために、幼いうちから多くの人に触れ合う機会をつくりたい―」
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塩崎さん(中央)とボランティアの方々
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一分間スピーチをする子どもたち
 非行に対する自分なりの解決策を模索していたとき、住まいのある羽黒地区で学童保育の待機児童が増えていることを知る。公設の学童保育はあっても、対象は3年生まで。40人の定員は1年生で満杯になっていた。
 塩崎さんは待機児童の居場所づくりを決意。趣意書を手に地区の各団体を回って協力者を募った。 
 呼びかけに応じたボランティアは23人。04年10月、希望者の親子とボランティアが一堂に会して設立総会を開いたとき、子どもが発した次の一言で名称が決まった。
  「ほっとはあったかいってことだよ。サロンはみんなが集まるところだよ。だから、ここはほっとサロンだね」
集会所がみんなの居場所に
 羽黒ほっとサロンの利用者は、4年生と5年生の22人。子どもたちは宿題をかたづけ、1分間スピーチでその日の出来事を報告し、おやつを食べ、自由に遊んで過ごす。
 このほかボランティアとともに花や野菜を育て、収穫した野菜を料理し、フォークダンスやグランドゴルフを楽しみ、環境保護活動にも取り組む。子どもたちのためと始めた活動は、ボランティアの特技を地域に還元する生きがいづくりにもつながり、集会所はみんなの居場所になった。
 「子育てが済んだ世代だからこそ、自分の子育ての反省から、余裕をもって接することができるんですよ」
 ボランティアの一人、一ノ瀬夏子さんがこう語るように、人生の経験を重ねた高齢者、そして月に一度のボランティアだからこそ、家族や教師とは異なる愛情を注ぐことができる。そんな環境が「ありのままの自分でいても愛される価値がある」という自信を育み、子どもたちは目覚しく成長した。
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学年の枠を超えてなかよく遊びます
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フォークダンスサークルの皆さんと
 学習障害をもつ子に時間をかけて教えると、文字が読めるようになった。1年生の終わりから不登校になった子には、夏休みにつきっきりで勉強を教え、学校に送り出した。子どもたちには異世代交流を通して思いやりの心も育ち、みんなで遊ぶときには学習障害の子を中心に据えるようになった。
 「子どもたちの成長を励みに、ボランティアが喜んで来るようになり、それが地域にも伝わっていき、ボランティアの数は58人に増えました」
  一人で行動を起こし、地域の教育力を再生させた塩崎さんは、団塊の世代に次のようなメッセージを発する。
  「誰か一人がジャンヌ・ダルクになり、賛同する人が集れば、活動は立ち上げられます。そして、活動を継続したいという熱い思いがあれば、人と情報と資金を引き寄せます」

<中央労働金庫「団塊世代のためのNPO読本」(2007年4月発行)より転載>

みんなの居場所「羽黒ほっとサロン」
〒400-0071 山梨県甲府市羽黒町527 (コーディネーター:塩崎洋子)
TEL:055-254-2115
中央ろうきんは、05〜07年、みんなの居場所「羽黒ほっとサロン」 『地域住民による「みんなの居場所づくり」事業』を助成しました。
 
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