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栃木県
地域の課題をビジネスで解決 市民メディアにも進出し、シニアの力を市民活動に
 
特定非営利活動法人 栃木県シニアセンター
 
全米退職者協会へのあこがれ
 ふとした出会いが人生を変えることがある。荒川恒昭さんにとって、それは全米退職者協会(AARP)の活動を伝える一本の記事だった。3,500万人の会員を擁するAARPは世界最大のNPO。シニアの権利擁護を目的に、多彩な活動を展開している。
 「シニアにこれだけのことができるのか。日本にもこんな団体があれば――」
 さっそく機関紙の定期購読を開始。日本版AARPの設立を模索し始める。最初に取り組んだのは「シニアのためのパソコン教室」。98年、友人と二人で「シニアのためのネットワーク栃木フォーラム」を立ち上げ、企業からパソコン10台を借りた。
 「当時はウィンドウズ98が発売され、デジタル・デバイドが問題になりかけていました。私たちの世代でパソコンを使う人はいない。このままでは取り残されるという危機感がありました。たまたま私は会社で使っていたので、教室を開こうと思ったんです」

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パソコン教室のようす
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男性の料理教室
 2万円でつくったチラシを新聞の折込に入れると、10人の定員に32人が応募。すぐに企業と行政とのコラボレーションに発展し、受講者を抽選で選ぶほど申し込みが殺到した。
 多くの退職者、退職予定者が、新しい人生を歩み始めるきっかけを求めていた。翌年、NPO法人化とともに出資金を募ると600万円が集まり、会員を募ると県内全域から300人を超える申し込みがあった。男性の料理教室にも希望者が押し寄せた。
 順調なスタートを切ることができたのは、現役時代の豊かな人脈による。
 「会社勤めのときから、人脈は将来の財産と考えていました。だから、団塊の世代には、現役時代からネットワークづくりをしてほしいですね」
 65歳まで働くつもりでいた荒川さんは、活動時間を確保するため、60歳で退職。NPO活動に専念した。

70歳でITベンチャーを
 03年からは、栃木県の委託を受け、コミュニティ・ビジネス講座を開催した。NPOの基礎知識から活動分野、理念とマネージメント、申請の方法から会計実務、情報戦略までの356時間にわたる実践的な講座では、自らの失敗も含めた経験を伝えた。
 「80人の受講者のなかには、社会福祉や国際協力などのNPOを設立した人が6人、ドッグトレーニングや自然食の惣菜屋などコミュニティ・ビジネスを起業した人が10人います」

 05年には、市民メディア事業にも進出。栃木ケーブルテレビで放送される番組を、市民の視点で独自に取材・制作している。番組では、視聴者が地域の情報を共有できるよう、地域の魅力や課題を伝える。そのため毎回、ボランティア団体やNPOの活動を紹介。視聴者の市民活動への参加を促すことによって市民活動を強化する役割を果たしている。
 荒川さんは番組の取材を通して、ボランティア団体やNPOのデジタル・デバイドに気づいた。その課題解決には、自らコミュニティ・ビジネスを起こそうと考えている。
 「彼らの活動を支援するためにも、市民団体が使いやすいツールを開発し、3年後、70歳までにはITベンチャーを立ち上げたいと思っています」
 これまで数々の活動を成功させた荒川さんなら、この夢もきっと実現させることだろう。

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パソコン教室:講師もシニアが担当
 
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代表理事の荒川恒昭さん
<中央労働金庫「団塊世代のためのNPO読本」(2007年4月発行)より転載>

特定非営利活動法人 栃木県シニアセンター(代表理事:荒川恒昭)
〒328-0012 栃木県栃木市平柳町2−4−7
TEL:0282−29−1320
中央ろうきんは、06年、特定非営利活動法人栃木県シニアセンター 『地域住民による市民メディア(ビデオ)の企画制作事業』を助成しました。
 
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