http://www.rokin-ikiiki.com/
コミュニティレポートへ戻る
茨城県
特定非営利活動法人 並木会
「とんでもないことが始まった」
「知らない」ということは、ときに大きな力になる。3年前、並木弘幸さんとつぎ子さん夫妻は、精神障害者のことも、NPO法人制度も、グループホームという施設も知らなかった。そんな二人がNPO法人並木会を設立。精神障害者4人が入居するグループホーム「やまと」を運営している。
きっかけは3年前。弘幸さんの定年を控え、二人は「隠居所」の建設を計画していた。これを知ったつぎ子さんの友人が、こう問いかけた。
「その隠居所を大きく建てて、精神障害者に貸してくれないかしら」地域に受け入れ先がない精神障害者の多くは、「社会的入院」を強いられている。友人の娘もその一人だった。
「いいよ」
部屋を貸せばいいと思ったつぎ子さんは、軽い気持ちで了解した。
「これはとんでもないことが始まったと思ったのは、その後ですよ。何にも知らないからできたんです」
二人は精神科病院で研修を受け、つぎ子さんはホームヘルパー2級の資格を取得。弘幸さんは設計図を白紙に戻し、グループホームに変更。資材の調達から建設へと奔走する。NPO法人とグループホームの申請のために役所に通い、地域への説明会も開き、2005年4月、開所にこぎつけた。
グループホーム外観
並木弘幸さんとつぎ子さん夫妻
つぎ子さんの手料理が食卓に並びます
感謝の言葉が最高の報酬
精神障害者への先入観のない二人は、知らず知らずのうちに、同居する入居者を自立へと導いていった。長期にわたる入院生活では体を動かす機会が少ないため、体重が増加しやすい。弘幸さんは毎朝、散歩に連れ出し、つぎ子さんは低カロリー食を料理して、健康を管理。20キロ以上もの減量に成功し、肥満を克服した。
デイケアに通う50代の男性は、弘幸さんの車で送迎していたが、いまでは8キロの道のりを毎日、自転車で往復する。一人は弘幸さんの元取引先の会社で働き始めた。音大でピアノを学んだ50代の入居者は、20年以上封印していたピアノの演奏を再開。地域の会合や音楽祭で腕前を披露する。
入居者ひとりひとりが並木さん夫妻に背中を押され、小さな成功体験を積み重ねるうちに、次第に社会性を身につけ、症状も改善された。
弘幸さんは敷地内に農業用のハウスと休憩所も建設。近くに畑も借りた。
「陽を浴び、土に触れ、体を動かして、汗を流せば、気分も晴れると思って、私も一から農業を学びました」
無農薬の野菜はつぎ子さんの手で料理され、食卓を飾る。秋には地域の人を招いて収穫祭も開く。
運営を支えているのは施設に支給される支援費。その金額は年を追うごとに減額傾向にある。開設を働きかけたつぎ子さんの友人は、「薦めて申し訳なかった」と詫びる。これに対して弘幸さんはこう答えている。
「おかげで毎日、充実した日々を過ごすことができて、感謝していますよ。入居者が満足してくれ、変化を目にした家族が涙を流して喜んでくれる。それが最高の報酬です。その喜びはお金には換えられません」
そして、つぎ子さんはこう続ける。
「グループホームはとっても楽しいし、みんなが四人ずつ預かれば社会的入院はなくなるんだから、やってみたらって人にも薦めているんです」
敷地内のビニールハウス
<中央労働金庫「団塊世代のためのNPO読本」(2007年4月発行)より転載>
特定非営利活動法人並木会
〒319-0323 茨城県水戸市鯉淵町5065-89
TEL:029-259-5843
中央ろうきんは、05〜07年、特定非営利活動法人並木会 『精神障害者の地域交流を通じた自立支援事業』を助成しました。
このサイトは、Netscape Navigator6.0、Internet Exproler5.5以上でご覧ください。
Copyright©2002-2007 Chuo Labour Bank