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コミュニティで起きた「革新」が日本を変える
コミュニティで起きた「革新」が日本を変える
代表理事 駒崎弘樹
代表理事 駒崎弘樹
 「病児保育」ってご存知ですか?共働き夫婦にとって、子どもの病気は大きな問題です。普通の保育園は病児を預かってくれませんので、夫婦どちらかが会社を休む必要があります。仕事のハンディになるのはもちろん、休暇が度重なることで解雇されてしまうこともあります。だから、多くの共働き夫婦は、病児保育サービスを強く求めているのです。

 だけど、そのニーズは満たされていないのが現状です。全国に約2万ある保育園に対して、病児保育施設は約500しかありません。しかも、その9割が赤字経営。「病児保育は保育の“闇”」と言われてきたのです――。僕は、子育ても安心してできない社会って、とても悲しい社会だと思います。
 でも、不思議だと思いませんか?ニーズがあれば事業は成り立つはずじゃないですか。僕はこう考えました。今までの病児保育の事業形態に問題があったんじゃないか?発想を転換して、病児保育を健全に成り立たせることができるビジネスモデルを考え出せばいいんだ、と。そして、IT企業の経営者を辞めて、病児保育に取り組むことにしました。

 2004年4月にNPO法人「フローレンス」を設立。翌年4月から、生まれ育った東京都江東区と中央区で新しいビジネスモデルによる病児保育サービスを始めました。ポイントは「脱施設」。「施設型」は運営経費がかかるため、子育て経験の豊富なベテランママのご自宅で病児を預かってもらうことにしたのです。おかげさまで、共働き夫婦の皆さんにご好評いただいています。これからが正念場ですが、なんとしても成功させるよう頑張っています。

 そして今、江東区・中央区というコミュニティでスタートしたビジネスモデルを参考に、全国で同様の取り組みが始まっています。とても嬉しいことです。コミュニティで起きた「革新」が伝播することで、日本が「仕事と子育ての両立なんて当たり前」と言える社会になれば、それが僕の本望なのですから。
<中央労働金庫「働く人へのメッセージ」(2006年4月発行)より転載>
79年生まれ。99年慶應義塾大学総合政策学部入学。01年(有)ニューロンに共同経営者として参画。株式会社化後、同社代表取締役社長に就任。学生ITベンチャー経営者として、様々な技術を事業化。04年NPO法人フローレンスを設立、代表理事に就任。05年4月から江東区・中央区にて全国初の「保険的病児保育サポートシステム」をスタート。慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員。
 
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