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労働組合に求められる人材
<第3回>
労働組合における人材育成の処方箋
有限会社アプレ総合研究所
代表 鹿野和彦
アプレ総合研究所代表 鹿野和彦
 
今、リーダー教育に求められるプログラムとは?
 連載では、「労働組合が置かれている現状と教育活動の問題点」「これから求められるリーダー像とリーダー教育の方向性」について整理してきました。今回はそれらを受けて、具体的な人材育成プログラムを提案したいと思います。

1.新入組合員に対する教育
 「知識」の習得は、組合員になった時点から早急に実施すべきです。ただし、従来のような頭ごなしの「労働組合論」では、若い組合員は拒否反応を示すだけ。労働組合を知らない人、ごく普通の日常を生きる「個人」の視点から労働組合の必要性を訴求するような研修プログラムを構築していくことが必要です。
 ちなみに、「労働組合がなぜ政治活動に取り組むのか」といったテーマについても、政治に関わることは当たり前だといった観点で開催したのでは、参加者との間に大きな認識ギャップが生まれます。あくまでも「個人」の視点から必要性を訴求することが大切です。

2.職場委員、支部・分会役員に対する教育
 職場委員や支部・分会役員を対象とした研修も、労働組合の役割や役員としての責務を上意下達型に伝えていたのでは理解と共感を育むことはできません。自分自身を含め、働く仲間が置かれている状況を丁寧に解説しながら労働組合の存在意義・必要性を感じてもらい、その上で自らの役割を考え、必要な知識を習得するようなプログラムが必要です。なお、職場委員(支部・分会役員)の段階では、日常的な「聴く・話す」というスキル、職場集会などを運営する「情報伝達・会議運営」のスキルが必要です。そうしたスキルについては、参加者が一堂に集える集合研修のメリットを活かして、実習やグループ討論を活用したプログラムを構築するといいでしょう。

3.中央執行委員,地方本部役員に対する教育
 中央執行委員や地方本部役員など、労働組合をリードする立場にある人に対する教育は、広範かつ多角的な観点から行なわれます。「知識」面では、法的な面を含めた労働組合活動に関する知識はもとより、事業政策、産業政策へ対応できる知識や経営状況を判断できるだけの専門知識が必要になります。また、人事制度や評価制度などについても自ら制度を構築・運用できるだけの知識が求められますし、企業内労働組合の殻を打ち破った活動が叫ばれている現在、広く世の中の動きについて造詣を深めていくことが大切です。
 同様に、「スキル」面、とりわけリーダーシップの育成は、組織や活動の活性化の基盤でもあることから必要不可欠なものになっています。ただし、多くのリーダーシップ研修の場合、リーダーシップを構成する要素が何なのかを整理しないまま実施されるため、必ずしも所期の効果が得られていないのが実情です。時には「コミュニケーション」や「動機づけ」「育成・指導力」といった要素ごとに実施する研修も必要で、的確な組織診断のもと、実情にマッチした教育プログラムを打ち出していくべきだと考えます。
 ちなみに、教育効果を得るためには教育内容もさることながら、教育手法についても最適なものを導入することが大切です。集合研修で実施すべきもの、通信教育やテキスト学習で実施すべきもの、さらには、eラーニングなどを活用して行なうべきものなどを分類しながら、体系的で効率的に学べる環境を整えていきましょう。

終わりにあたって
 アプレ総合研究所では、労働組合をはじめとした非営利組織を支援する観点から、さまざまな教育・研修事業に取り組んできました。これまで提供したプログラムは多岐にわたりますが、共通しているのは「元気な人づくり、組織づくり、社会づくりに貢献したい」との思いです。これからもさまざまな手法を開発しながら、皆さんと一緒に元気で魅力的な労働組合をつくっていきたいと思います。本コラムの記載内容に対するご質問やご意見、あるいは労働組合教育に関するお問い合わせがある方は、ぜひ下記までご連絡ください。
TEL: 03-5211-5911
e-mail:info@apres-sk.co.jp
HP:http://www.apres-sk.co.jp/
第1回:労働組合の現状と人材育成の問題点
第2回:21世紀のユニオン・リーダーとは?
●鹿野和彦(かのかずひこ) プロフィール
1983年早稲田大学卒業。91年株式会社アプレコミュニケーションズ設立、代表取締役就任。
各種メディアの編集・企画、教育・研修事業に携わるとともに、労働組合の客員アドバイザーなども務める。99年高崎経済大学客員講師。2005年にシンクタンク「有限会社アプレ総合研究所」設立、代表就任。企業・労組、行政・自治体、NPOを対象に教育支援、コンサルタント事業を展開する。
 
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