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労働組合に求められる人材
<第2回>
21世紀のユニオン・リーダーとは?
有限会社アプレ総合研究所
代表 鹿野和彦
アプレ総合研究所代表 鹿野和彦
 
組織や時代によって変わるリーダー像
 労働組合に限らず、組織には組織活動をリードする人材が求められます。そしてリーダーとしてふさわしい人材にはリーダーシップという資質が求められ、組合教育においても「リーダー育成」や「組織活性化」は主要なテーマとして教育活動の中心課題の1つとして位置づけられてきました。
 しかし、ひと口に「リーダー」といってもその言葉が意味するものは組織特性や時代、環境の変化によって異なります。昔からよく言われるように、効率性を求めるのであれば、上意下達で意志決定がなされる“軍隊型”の組織、そしてリーダーも権威と規律によって全体の意志を統合できるような“統制型”のリーダーシップが必要だと言えるでしょう。
 しかし、フラットな組織あるいはネットワーク型の組織の場合、むしろメンバー一人ひとりを大切にする組織運営、メンバーとの合意形成を図りながら組織目的を達成できるようなリーダーが求められます。むしろ上意下達型の組織にはアレルギーを感じる人が多く、統制型のリーダーに対しても「なんの理由があって指示されなければならないのか」「そんな強引なやり方に納得できない」など、さまざまな不平や不満がぶつけられることになります。そして、強引に組織をリードしながら何の成果もあげることができなかった場合、メンバーは組織に対する信頼感を喪失し、その後は面従腹背しながら非協力的・無関心な態度を取り続けることになるのです。
“統制型”から“ファシリテート型”のリーダー育成を
 労働組合の主役は組合員です。本来であれば一人ひとりの組合員の意見を集約し、その意図するところにしたがって活動を進めていくのが労働組合の基本的な組織運営だと言えるでしょう。しかし、現在の労働組合の中には上意下達型の組織運営に陥っているところも多く、きめ細かな往復運動によって意志形成を図っていくという労働組合活動の基本すら形骸化しているケースも少なくありません。その意味では、これからの労働組合は時代に対応した組織運営のあり方を考えていくことが大切で、あわせて21世紀のユニオン・リーダーとしてふさわしい人材育成を進めていくことが重要です。
 最近、「コーチング」を組織運営に採り入れる企業が増えています。それは、大量生産・大量消費型のビジネスモデルから多品種・少量生産型のビジネスモデルに変わった今、社員一人ひとりが潜在的に持っている知恵や経験、ノウハウを引き出すことこそが生産性の向上につながるとの認識が広く浸透してきたためだと推察されます。
 労働組合も同様です。りんご(実が1つ=目的が1つ)から、ぶどう(実が多数=目的が多数で1房に統合)へ。かつてのように「賃上げ」の旗さえ掲げて組織への求心力を維持できた時代は終わりました。多様な価値観、多様なライフ&ワークスタイルが浸透した組合員をリードしていくためには、それに対応できる組織運営が大切で、組合員の多様な意欲や能力を引き出すことのできる“ファシリテート型”のリーダーを育成していくことが重要ではないでしょうか。
 コーチングスキルは、そうしたファシリテート型のリーダーを育成するための主要なスキルの1つであり、加えて、組合員のニーズや不安・課題を抽出しながら、個々の問題を解決するための具体的な知識・技術を身につけていくことが必要です。
 具体的には、問題点(課題)を解決(達成)するためのスキルや、組織を活性化するためのマネジメントスキルを充実させることが大切ですし、組合員の多様な要求に応え得る幅広い知識・教養も求められます。また、グローバル化やIT化が進展している今、語学力を含む国際感覚を身につけたり、情報リテラシーなどの能力を向上させておく必要もあるでしょう。
 大切なのは、自らの組織を担っていくリーダーに求められる知識・技術・ノウハウを固定観念なしに洗い出していくこと。思いつきや惰性に流されることなく、組織としての未来を見据えた抜本的な教育体系を構築していくことが大切なのです。
第1回:労働組合の現状と人材育成の問題点
第3回:労働組合における人材育成の処方箋
●鹿野和彦(かのかずひこ) プロフィール
1983年早稲田大学卒業。91年株式会社アプレコミュニケーションズ設立、代表取締役就任。
各種メディアの編集・企画、教育・研修事業に携わるとともに、労働組合の客員アドバイザーなども務める。99年高崎経済大学客員講師。2005年にシンクタンク「有限会社アプレ総合研究所」設立、代表就任。企業・労組、行政・自治体、NPOを対象に教育支援、コンサルタント事業を展開する。
 
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