http://www.rokin-ikiiki.com/
コラムへ戻る
特定非営利活動法人 パブリックリソースセンター
事務局長 岸本幸子
阪神淡路大震災の起きた1995年はボランティア元年といわれ、以後ボランティア活動は急速に日本社会に定着しつつあります。企業、団体、官公庁などで、従業員のボランティア活動を支援する仕組みも広がってきました。NPOを応援するもうひとつの方法「寄付」についてはどうでしょうか。最近では非営利の活動を広げていく上でも寄付金を初めとする資金が必要なことが認知されてきました。寄付がもうひとつのボランティアとして関心を集めつつあります。
Copyright by 高坂敏夫
そこで「会社」という場を通じて社員の人から寄付を集める「職域募金」を進めている、ユナイテッドウエイ・オブ・ニューヨーク・シティという中間支援組織の事例をご紹介します。10月から12月、ユナイテッドウエイ・オブ・ニューヨーク・シティの広い会議室には電話とパソコンがずらっと並びます。協力リストに載っている企業に電話をかけ、今年もチャリティシーズンがやってきたことを伝えるのです。アポイントメントがとれると、ユナイテッドウエイの職員は企業を訪問し、寄付キャンペーンの企画を始めます。受け入れ企業側の担当者は経営のトップから指名された役員ないし部長級の管理職で、寄付キャンペーンは彼にとって重要な「仕事」となります。担当者のもとには各職場からはせ参じたボランティアのキャンペーンリーダーが集まり、チームが結成されます。キャンペーンチームとユナイテッドウエイは、合併やリストラ、周年事業など企業を取り巻く様々な状況も加味しながら、その年の寄付キャンペーンを計画するのです。
しばしば寄付キャンペーンはボランティアデーと連動した企画となります。社内のキャンペーンチームが、社員の関心を反映したボランティア活動案を策定します。子どもたち向けの職場見学、荒廃地域での学習支援のお手伝い、ホームレス支援組織での配食サービス、教会でのリサイクル衣料の整理等々。提案を受けたユナイテッドウエイは、ボランティアを受け入れるNPOを探し、受け入れ計画を作成します。ボランティアデー当日は、社員と社長との懇談会からスタートします。簡単な朝食が会社側によって用意されることもあり、社長から今年一年間ビジネスがうまくやってこられたことへの感謝を地域社会にお返ししようという趣旨のスピーチがなされます。自由参加ですが、有休扱いになることもあり、仕事が切羽詰っている人以外は参加するようです。社員はチームにわかれ、社長も他の役員も加わって、ボランティアの現場に向かいます。
皆で一日ボランティアの汗を流した後、一旦会社に戻り、そこで改めて寄付の申し込み用紙が配られます。今まで全く知らなかったNPOの世界に触れてお手伝いをしたことで、寄付をして支えたいという気持ちに自然になるようです。「どんな気持ち?」と参加者に聞いてみると、「Feel good!」(いい気持ちだよ)という返事が返ってきました。こうして集められた寄付は会社側がまとめ、一旦ユナイテッドウエイに集められたあと、地域のNPOに助成金として再配分されることになります。
こうした職場募金のキャンペーンは企業のサイドからみたメリットも大きい社会貢献事業です。社員参加型の顔の見える社会貢献活動であること。従業員からの自発的な寄付が中心で、企業が単独で多額の寄付をする必要がないこと。従業員に寄付先についての明確に知ってもらえること。普段の仕事では接する機会のない他部門の従業員や役員との会話の機会を提供して、社内のコミュニケーションを推進できること。社員に対する福利厚生策のひとつとして、必要を感じたときに相談に行けるNPOの情報を社員に提供できること、などです。
このように職場募金は、幅広い人から小額の資金を負担感なく手軽に集めて、NPOを応援することができます。しかし効果的にキャンペーンを進めるためには、企業や労働組合の協力が不可欠です。社員参加型の寄付の仕組みをつくることは、社会貢献活動のこれからの新しいチャレンジといえるでしょう。
このサイトは、Netscape Navigator6.0、Internet Exproler5.5以上でご覧ください。
Copyright©2002-2007 Chuo Labour Bank